前回、多数当事者の債権債務関係では、債務者が複数になる場合や保証人が複数になる場合の組み合わせで、更に法律関係が複雑になるので、改正された、されていないに関わらず、まとめ回を書くと予告しました。

今日はこれについて書きます。

まずシンプルな保証の場合の債務者が複数になる場合についてから始めます。

債務者が複数、つまり連帯債務者や不可分債務者が複数いる場合、保証人はそのうちの1人について保証する場合と複数人について保証する場合が考えられます。

連帯債務者や不可分債務車が複数いて、そのうちの1人について保証した場合、保証人は債務を履行すれば他の債務者に対してその者の負担部分についてのみ求償できます。(民法第464条)

連帯債務者や不可分債務者全員について保証した場合、債務を履行すれば、誰に対しても全額求償できます。

これは、保証した債務者に対しては全額求償できるという状態が全員に適用されるだけだからです。

複数債務者がいてそのうちの一部の債務者について保証した場合は、上記1人場合と全員の場合の複合形態と考えればよいでしょう。

保証した債務者に対しては全額、他の債務者に対しては負担部分について求償できることになります。

次に保証人が複数いる場合を考えます。

シンプルな保証の保証人が複数いる場合は各保証人が保証額を頭数で分割できる分別の利益があります。

連帯保証の場合この分別の利益がありません。

更に、シンプルな保証の場合に、保証人間であえて分別の利益をなくす特約を結び、全額弁済する義務を負うものが保証連帯です。

保証連帯は、分別の利益がなく、債権全額の弁済をしなければならない点で連帯保証と共通しますが、あくまで本質はシンプルな保証ですので催告の抗弁権や検索の抗弁権を有しています。

これらをまとめて求償の説明をすると、連帯保証や通常の保証という括りではなく、分別の利益があるか、無いかで分けて、異なる求償の規定が準用されます。

分別の利益がある場合は、保証人の1人が、全額又は自分の負担部分を超えて弁済すると、連帯債務の求償に関する規定(民法第442条から第444条)が準用されます。(民法第465条第1項)

分別の利益がない場合(連帯保証や保証連帯)は、自分の負担部分を超えて弁済した保証人は、委託を受けない保証人と類似するので、委託を受けない保証人の求償に関する規定(民法第462条)が準用されます。(民法第465条第2項)