以前このブログの「誰の被害]という記事で、アバターに対する誹謗中傷が本人への誹謗中傷になるかという記事を書きました。

簡単におさらいしておくと、動画にアバターを使用しているVチューバーは、画面には直接本人は登場しません。

このようなVチューバーに対する誹謗中傷を法的に争う場合に、誹謗中傷とされる行為がアバターに対するものか、本人に対するものかが争われていました。

具体的には名誉毀損で訴えるために、相手方を特定するため、プロバイダーに対して個人情報を開示するよう求めた訴訟の中で、誹謗中傷とされる行為が誰に対するものかが問題になっていました。

結論から言うと、大阪地方裁判所は誹謗中傷とされる行為は、本人に対するものであることを認め、プロバイダーに対し書き込みをした者の個人情報を開示するよう命じました。

今年、東京地方裁判所でも同様の事案で個人情報の開示が認められていますので、アバターに対して誹謗中傷とされる行為を行えば、本人に対するものであると解される可能性が高いと言って良さそうです。

これは、アバター独自の人格を認めて、アバターに対する行為であるとは捉えずに、形式的にはアバターに対する行為であっても、アバターには本人の経験や体験が反映されているため、書き込みはアバターの使用者に向けられたものであると捉えられたことによります。

画面に登場するのが、本人ではなくても、アバターを通じての言動に対して誹謗中傷を行えば、本人に対する誹謗中傷となる可能性が出てくることになります。

再度確認しておくと、今回は名誉毀損での訴えの前提として、プロバイダーに対して個人情報の開示を請求したものです。

実際に名誉毀損になるかは、これから、相手方を特定したうえで、別の訴えで争われることになります。